法律事務所の選び方〜過払い金返還請求〜


 過払い金請求をする際に、法律事務所に依頼する場合、費用仕事内容の両方について検討することが大切です。
 
 過払い金請求に限ったことではないですが、金銭の請求においては、最終的に自分の手元に入ってくる金額が重要だと思います。したがって、当然ですが、受任料や成功報酬などの法律事務所に払う費用は重要になってきます。

 仕事内容についても、各事務所の方針とも関連して、各事務所ごとに様々です。実はこの仕事内容というものが大変重要で、依頼する事務所によって、取り返せる金額に、かなりの幅が出てきてしまうのです。
 例えば、すぐに和解に持ち込もうとする事務所ならば請求金額全額をとれなくても、解決しようとするでしょうし、逆に訴訟に持ち込んででも勝とうとする事務所であるならば、請求金額全額を取り返すこともできますが、訴訟の結果によってはかなり減額された額や、1円も取り返せないということも、大いにあり得るのです。

 ここでは、やや大袈裟な例をあげました。しかし、現実にはこれほどの違いは無いにせよ、依頼する事務所によって取り返せる金額が変わってくるというのは、よくある話です。

 このページでは、法律事務所を選ぶ際の着眼点や金額の目安等を記載しています。
 どこの事務所に依頼するかというのは、自分で判断するしかないのですが、その際の参考になさってください。

 ◆費用について

 法律事務所に依頼する場合、かかる費用は主に1、相談料、2、受任料、3、基本報酬4、成功報酬です。この他に5、減額報酬というものが発生する場合もあります。弁護士は高額で司法書士は安いという方もいますが、一概にそうとも言えません。弁護士でも司法書士でも、個々の事務所によって費用は様々です。弁護士事務所が司法書士事務所よりも安いなんてことは、よくあることです。
 したがって、弁護士か司法書士かという観点よりも、その事務所がどうなっているかを気にするのがいいでしょう。


1、相談料
 これは、依頼する前の相談する際にかかる費用です。
 相談料は0円のところも増えていますが、一回相談に行っただけで1万円とか2万円とる事務所もあります。また、時間で取るところもあります。その場合は、30分3000円や5000円というように、相談に時間がかかるほど費用も増えてしまいます。
 目安 0円〜2万円くらい

2、受任料
 これは、依頼したときに最初にかかる費用です。着手金のようなものです。
 受任料は取らない事務所もあります。最近は受任料0円の事務所も増えているようです。
 受任料を取らない事務所は成功報酬を高くしているところもあるので、注意が必要です。
 目安 0円〜2万円くらい
  2万円以上するところもありますが、大抵この範囲です。
  平均的だと1万円前後だと思います。

3、基本報酬
 これは、弁護士や司法書士の仕事に対して支払う費用です。したがって交渉する相手が増えるほど金額は高くなっていきます。
 債権者、つまり借入先金融会社一件につき○○円としているところがほとんどです。
 もっとも、基本報酬に関しても、0円の事務所も多いです。
 ただし、これについても、基本報酬をとらない代わりに、成功報酬を高くしているところもあり、返還される金額によっては、基本報酬を取る事務所より取らない事務所の方が、費用が高くなってしまうこともありますので、注意が必要です。
 目安 0円〜4万円くらい
  基本報酬がかかる事務所では、1万円〜4万円と幅があります。
  弁護士→2〜4万円、司法書士1〜4万円というところでしょうか。おおよそですが。

4、成功報酬
 これは、返還請求ができたとき、つまりお金が取り返せたときに支払うものです。過払い金報酬と記載している事務所もあります。ほとんどの事務所が、取り返すことができた金額の○○%という、割合で算出されます。
 過払い金額が高額の方は、成功報酬の違いが特に重要です。
 仮に300万円の過払い金があるとして、成功報酬は、15%の事務所では45万円ですが、30%の事務所では、倍の90万円もかかってしまいます。
 そうすると、上で挙げた受任料を2万円・基本報酬を4万円取る事務所であっても、成功報酬が15%であった場合には、45万+2万+4万=51万円となり、受任料も基本報酬も取らない、成功報酬30%の事務所よりも39万円も安くなるということです。
 ちなみに、成功報酬が全国平均の20%の事務所でも、過払い金額300万円だと、成功報酬は60万円になりますから、受任料・基本報酬を取られても15%の事務所の方が安く済みます。
 目安 金額の10%〜40%
 各都道府県によって平均は違いますが、全国平均ですと20〜21%ぐらいです。

5、減額報酬
 これは、過払い金を取り返せたとしても債務が残ってしまう場合、つまり完済できていない場合に発生する費用です。
 下の仕事内容の項目でも触れますが、過払い金を取り返しても完済できない場合、任意整理として依頼を受ける事務所があります。そのような事務所では、完済できなくても、減額した分を減額報酬として取ることがあります。これは過払い金の成功報酬とは別にかかる費用です。
 つまり、減額報酬をとる事務所の場合、過払い金の回収と債務の減額(債務の任意整理)という、2つの依頼をしているような状況になるわけです。
 もっとも、任意整理という形式をとらず、過払い金回収の依頼の中で減額報酬をとるところもあります。
 この減額報酬に関しても、0円のところもあります。過払い金を回収できたとしても債務が残ってしまうという方は、減額報酬を取らない事務所がよいと思います。
 目安 0円〜債務の15%
 減額報酬がかかる事務所では10%〜15%のところが多いようです。

まとめ
 このように、かかる費用の項目・金額は、各事務所によって様々です。いくつかの事務所検討する際には、面倒でも各項目の費用を足した、合計金額を算出してみるとよいでしょう。
 ちなみに、基本報酬以外は一切取らないという事務所もあるようです。そのような事務所であれば、費用は安く済みますが、依頼後の仕事内容についてよく見てみる必要があると思います。

 ◆仕事内容について

 仕事内容については、1、仕事の仕方2、過払い金を回収しても債務が残る場合に任意整理として依頼するのか、という2点が主な着眼点となります。

1、仕事の仕方
 項目として仕事の仕方というあいまいな書き方をしましたが、より具体的に書いてみますと、請求方法及び訴訟への係わり方、の2点が検討対象となります。これは各事務所によって様々です。
 (1) 請求方法
 請求方法は、債権者である相手方金融会社のところに出向いて交渉する事務所と、電話でしか交渉しない事務所とがあります。交渉方法の違いによって、最終的に回収できる金額にも違いが出てきますので、これは特に重要だと思います。電話では強い交渉が出来ないことも多いですから、実際に債権者のところに足を運んで交渉してくれる事務所の方が良い事務所だと思います。
 (2) 訴訟への係わり方
 交渉がうまく運ばず、訴訟になってしまった場合、訴訟代理人として訴訟を進めてくれる事務所と、訴訟補助といって、アドバイスをするだけの事務所とがあります。訴訟補助しかしない場合には、本人訴訟といって、訴訟自体は依頼主自身が裁判所に出向いて訴訟を進行しなければなりません。
 本人訴訟では、特別難しいことをするわけではありませんが、法律の素人である方にとってみれば、やはりかなりの負担にはなると思います。
ですから、訴訟になった場合には、訴訟代理人として動いてくれる事務所かどうかは、非常に重要だと思います。

2、任意整理として依頼しなければならないか
 費用の項目でも触れましたが、過払い金を回収しても債務(借金)が残ってしまう場合、過払い金返還の依頼としてではなく、任意整理として受任する事務所もあります。
 任意整理として受任することが、一概に悪いとは言えないのですが、任意整理の方が費用が高くなることはあります。
 債務が残るということは、完済ができないということですから、過払い金を回収してもその分の債務が減るだけです。当然、債務が減ることはうれしいことですが、この場合には減額報酬という費用を、依頼した事務所に払わなければならないことがあります。
 もっともこの減額報酬は、任意整理として依頼を受ける事務所でも、取らないところもあります。また、過払い金の回収として依頼を受ける事務所でも、減額報酬を取るところもあります。


 このように、費用についても仕事内容についても「、各事務所によって様々ですので、いくつか気になる事務所がある場合には、上記の注意点を書き出すなどして比較するのが良いと思います。
inserted by FC2 system