法人住民税


 ● 法人住民税とは
 法人住民税は国税である法人税と同様に、主に法人の利益(所得)に対して課される地方税です。

 法人住民税には、個人に課される住民税と同様に、都道府県民税と市町村民税とがあります。
 一般に、都道府県民税は法人県民税、市町村民税は法人市民税などと呼ばれたりします。

● 申告納税方式
 法人住民税は、法人自身が税額を計算し、申告するとともに納税をする、申告納税方式を採っています。

 法人住民税は、法人税法の規定によって確定した決算書をもとに計算した法人税額をベースに、法人県民税用と法人市民税用の2つの申告書をそれぞれ作成して、課税標準と税額を確定し、2カ月以内に各都道府県(県税事務所)と市区町村に提出、納付します。
 そのため、法人住民税の申告と納付は、法人税と同時に行われます。

● 法人住民税の種類
 法人住民税には、@均等割額、A法人税割額、B利子割額という3種類の課税方法があります。

● 法人住民税の税額

 @ 均等割額

 均等割額は所得などに関係なく一定の基準に従って、一定額が課されます。一定の基準は以下の通りです。

 都道府県民税 → 資本金等の額に応じて金額が定まります。
 市町村民税   → 資本金等の額と従業員数によって金額が定まります。

 このような基準に従って、下の表の通りに税額が定まります。ただし、市町村民税は、各市町村によって税額が変わることもありますので、表の額は一例とお考えください。

資本金等の額
市町村内の従業員

市町村民税
道府県民税
東京都特別区の都民税
50億円超
50人超
300万円
80万円
380万円
50人以下
41万円
121万円
10億円超〜



50億円以下

50人超
175万円
54万円
229万円
50人以下
41万円
95万円
1億円超〜



10億円以下

50人超
40万円
13万円
53万円
50人以下
16万円
29万円
1,000万円超〜



1億円以下

50人超
15万円
5万円
20万円
50人以下
13万円
18万円
1,000万円以下
50人超
12万円
2万円
14万円
50人以下
5万円
7万円

 実際に納める均等割額は、当該事業年度が一年に満たない場合には、事業所等を有していた月数分でかまいません。したがって、納税額の計算式は

  納税額 = 均等割額 × (事務所を有していた月数÷12)

となります。百円未満の端数は切り捨てです。

 また、期間の計算を月の途中から始めた場合など、1月に満たない端数が出る場合には、その月は切り捨てとなりますが、当該事業年度中で、事務所を有していた月数が、1月に満たない場合には、切り上げとなります。したがって、最低でも1月分は法人住民税を支払うこととなります。

 A 法人税割額

 ・ 納税額
 法人税割額は、所得を基礎とした課税されるものです。
 計算式は以下のようになります。

 納税額 = 法人税額をベースとして算出した課税標準 × 税率

 ・ 課税標準
 法人税割額の課税標準算出のベースとなる法人税額は、法人税申告書の別表1「法人税額計」に記載される金額を使用します。
 計算方法は以下の通りです。(普通法人を前提)。

  1 法人税申告書の別表一(一)の「法人税額計」
 2 加算項目
 A. 試験研究費の増加の場合の法人税額の特別控除
 B. 退職年金等積立金に係る法人税額
 3 .減算項目
 A .みなし配当の25%相当額の控除額
 B .還付法人税額の控除額

1. + 2. − 3. = 法人税割額の課税標準(千円未満切捨)

 ※現況としては、加算・減算の調整項目がなく「法人税額計」が課税標準となる会社が多く見うけられます。

 ・ 税率
 税率は、各地方公共団体により異なります。自身の所属する地方公共団体に問い合わせて調べてください。
 以下の表では一例を載せておきます。これはあくまでも一例なのですが、この税率もしくはこれと近い税率を適用しているところが多いようです。
 制限税率というのは、最高でもここまでですよ、というものです。
 また、東京都はやや特殊ですので、表を別にして記載します。

道府県

道府県民税
市町村民税
標準税率
5%
12.3%
制限税率
6パーセント
14.7%

東京都

税率
不均一課税適用法人
特別区(23区)に事務所棟が
ある場合
20.7%
17.3%
市町村に事務所等がある場合
6.0%
5.0%

 ※ 不均一課税適用法人
  → 資本金額または出資金額が1億円以下で、かつ法人税額が年1,000万
    円以下の法人
     この場合の法人税額は、法人税割額の課税標準の基礎となる法人税額に
    より判定

 ・ 税額控除
 法人税割額として計算した税額から、次の3つの税額控除を控除します。
 @ 外国の法人税等の額の控除額
 A 仮装経理に基づく法人税割額の控除額
 B 利子割額の控除額

B 利子割額

 ・ 税額
 利子割額 = 利子等の額 × 5%
 ※ 所得税の利子等の源泉徴収される税率は15%。

 ・ 利子等の内容(所得税法などに規定)

  1 対象
   (1) 期間按分が必要でないもの
      ア 預貯金等の利子
      イ 合同運用信託の収益の分配
   (2) 期間按分が必要なもの
      ア 公社債の利子
      イ 証券投資信託の利益の分配
  2 対象とならないもの
    利益の配当・剰余金の分配

 ・ 控除対象利子額の計算
 期間按分が必要な利子割額のうち、控除対象となる金額は、その事業年度の所有していた期間に相当する部分のみです。
  ※ 按分する方法
    @ 個別法
    A 銘柄別簡便法

参照; 一件落着ホームページ

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